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江戸甘味噌とは
●江戸甘味噌の特徴
江戸甘味噌は光沢のある茶褐色で、深く蒸した大豆の香味と麹の甘みが渾然と調和し「とろり」とした独特の甘みをもった江戸っ子好みの粋な味噌で、味噌田楽、どじょう汁といった江戸(東京)の料理に巧みに使われ人気を博しました。といっても庶民の味ではなくどちらかといえば高級品でした。徳川幕府による植民地であった江戸はさまざまな地方から人々が流入し、好みの味もそれぞれでしたが、やがて味覚の最大公約数として文化の先進地である、京・大阪の味が「下りもの」として珍重されるようになります。こうして味噌も甘口が好まれ江戸甘味噌が誕生したのです。
江戸甘味噌は、塩加減、甘さ加減が京都白味噌と同じで、普通の辛味噌(仙台味噌、信州味噌)に比べ麹は2倍,塩は半分の専門的には多糖少塩消化型の米味噌で熟成期間は短く10日間程度です。一方塩分が少ないので変質が早く,夏季には10日程しか保存出来ませんでした。従ってその製造は江戸市中の味噌蔵に限られました。麹をたっぷりつかった贅沢な味噌であること、そして新鮮さを命とするところが江戸っ子の気質に合ったのかも知れません。町民に愛された江戸甘味噌は最盛期(江戸〜大正時代)には東京の需要の60%をも占める商品でした。
※「下りもの」
上方から江戸に送り込まれる荷を「下りもの」と言った。江戸の庶民にとっては上方から到来するものは高級品であった。 |
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