「東京の味噌」
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江戸甘味噌

■江戸甘味噌とは
・江戸甘味噌の特徴
・江戸甘味噌の歴史
・江戸甘味噌の作り方
■江戸甘味噌料理
■江戸甘味噌を味わう
■江戸甘味噌を買う



江戸甘味噌とは

●江戸甘味噌の歴史

江戸の発展とともに
1603年(慶長8年)江戸に幕府が開かれました。翌年には江戸城増築が発表され江戸の町は今で言う建築ラッシュを迎えます。武家と町人の商業都市として構成され、三河をはじめ全国から人が集まり、この新興都市に各地から大量の生活物資が持ち込まれるようになりました。それに併せて人口も劇的に増加し元禄期(1688〜1699年)には人口百万を超す大都市に成長します。開幕当時味噌は「買い味噌は恥」という風潮もあって商売になりにくい品物でした。しかしながらお江戸百万都市ともなりますとやはり「手前味噌」も追いつかなくなります。京都の白味噌、赤味噌(三河の豆味噌)、仙台味噌、田舎味噌など特に上方からは大量の味噌が江戸の台所を賄いました。一方、多様な味噌が競う中で、地方色にこだわらない江戸独自の味噌が江戸で作られるようになりました。江戸甘味噌の誕生です。
江戸の食を支えるために江戸の味噌屋は工場を設け量販体制を整えます。関東ローム層を利用し、本郷の麹屋が始めた味噌醸造家が工場生産のさきがけと考えられています。工場といっても狭い土地ですから、あくまでも小規模で、1651年嘉永4年には江戸の味噌問屋140軒のうち半数は本郷に集中(日本食生活表 楽游書房 西東秋男著)していたとあります。また、江戸甘味噌は醸造期間が短いので大がかりな設備も必要としなかったことも都市化が進んだ江戸の土地事情と適合したようです。

歌舞伎にも登場する江戸甘味噌
幕末から明治初期にかけて大活躍した狂言作者河竹黙阿弥作、六代目菊五郎の当たりもの「四千両小判梅葉」にて江戸甘味噌談義が庶民の会話の中に登場しています。
序幕第二場で「代物(しろもの)が良くなければどうしても売れやしねえから…わざわざ(江戸甘味噌を)買いに行くのだ」といった現代にも通じる、まさに江戸甘味噌の本質と江戸町民の気質そのものをあらわした科白(せりふ)が出て来ます。黙阿弥がなぜ味噌のことを科白に加えたかは定かではありませんが、より話に写実性をもたせるためであったと思われます。その演出のために江戸甘味噌を取り入れたということはいかに当時の江戸の人々とって身近な存在であったかが窺えます。またこの科白から味噌が江戸庶民の生活に不可欠かつ、すでに味噌を買って使用する食文化が根付いていたことも読み取れるのではないでしょうか?

市場から消えた江戸甘味噌
江戸甘味噌は江戸の食文化発展とともに生産量が増大し、関東大震災で組合員らは被災しつつも復興を遂げ戦前までは東京の需要の過半数を占めていました。しかし、第二次大戦の最中に多量の米を使用する醸造法が政府から「贅沢品」に指定されたため伝統ある江戸甘味噌の製造が出来なくなったのです。「贅沢」さこそ江戸から東京へ続く市民に愛されたというのにその特性が残念なことに裏目に出てしまったのでした。
昭和26(1951)年7月には統制も解除され味噌も完全に自由になりましたが、この空白の10年で食生活が激しく変化し、嗜好の移り変わりもあり現江戸甘味噌は大衆の味覚から全く忘れられてしまったのでした。現在では幻の味噌として昔を知る人や、特定の料理割烹店にわずかな需要があるに過ぎず、江戸甘味噌の生産量は激減しており、加工味噌としての需要が大部分となってしまいました。こうした現状を憂い、当組合では伝統の東京の食文化を守ろうと江戸甘味噌を東京都へ申請、平成15年に地域特産品の認定を受けることができました。これを期に江戸甘味噌の調理方法、メニューの開発に努め、東京の味噌、江戸甘味噌の復権に組合員一同日々努力しております。

江戸甘味噌誕生秘話
江戸に開幕した初代将軍徳川家康(1542〜1616)の命により、出身地の三河「八丁味噌」 の旨みと、京都「白味噌」の甘さを兼ね備えた味噌として開発されたという話も先祖代々当組合員へ 伝わっていおります。


※「四千両小判梅葉
中間(江戸の下級役人。若年寄直下の目付役のひとつ)上がりの野州無宿の富三が、浪人の藤岡藤十郎と組んで江戸城御金庫を破り、まんまと四千両の小判を盗み出す芝居。おでん屋の仮面をかぶった富三が味噌だれ(当時おでんは味噌田楽に代表されるように味噌だれが主流であった)について語った科白に江戸甘味噌が登場。二人とも結局捉えられて死罪となるが、人情劇でもあり大伝馬町の牢内の習慣、制度を描いた唯一の芝居。実際に起きた幕府の御金蔵破りを題材にしており当時大評判となった黙阿弥本領発揮の世話物。

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