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江戸甘味噌

■江戸甘味噌とは
・江戸甘味噌の特徴
・江戸甘味噌の歴史
・江戸甘味噌の作り方
■江戸甘味噌料理
■江戸甘味噌を味わう
■江戸甘味噌を買う



江戸甘味噌とは

●江戸甘味噌の作り方


江戸甘味噌の原料

大豆

米の成分 (精白米)
水分 15.5% タンパク質 6.1% 脂質 0.9%
炭水化物 77.1% 灰分 0.4%

大豆の成分 (国産大豆)
水分 12.5% タンパク質 35.3% 脂質 19.0%
炭水化物 28.2% 灰分 5.0%

(5訂 日本食品標準成分表より)

 


米麹の加工工程


水切後の米
浸漬(しんせき)・水切り
米を水に浸漬させ、適度な水分にあるように米の中心部まで均一に吸水させる。
麹菌の発育に大きな影響を与えるカリウムは、米の無機成分中最も溶出しやすいので、浸漬水の換水や水の掛け流しは行わない。
米は浸漬後、水切りを行う。これは、表面の付着水を除き、蒸米の上ねばりを防ぐためである。

 


蒸し上がった米が出てきました

蒸し
米を蒸す目的は、生でん粉(β−でん粉)をα−でん粉にかえ麹菌の繁殖を容易にし、酵素作用を受け易くすること、および米を殺菌し以降の製麹工程を安全に行うためである。
浸漬米は、蒸気に触れてから、15〜20分くらいで米粒全体に蒸気が通る。

冷却
蒸し上がった米は製麹の適温まで冷却する。冷却温度は、季節により異なるが32℃〜35℃とし、寒い時期には高く、暑い時期には低くする。


製麹中

製麹(せいきく)
製麹の目的は、米の細胞組織に麹菌の菌糸を侵入させ、酵素の生産蓄積を行うことと、麹菌の生育により、耐塩性微生物の生育促進物質とみその香味成分の前駆物質の生成にある。
製麹は麹菌の増殖適温に品温を保つことが必要で、品温が下がると増殖が遅れ、高温になりすぎると生育が阻害され有害菌に侵され不良麹となる。

種麹の選択については、江戸甘味噌は麹歩合の高い分解型(注1)の味噌のため、アミラーゼ活性(注2)の強い菌株を使用する。


電子制御による温度管理


製麹管理の要点は、蒸米水分の発散と麹菌の繁殖のバランスをうまくとって、目的とする酵素の生産を充分に行わせることである。
引込み(注3)後蒸米に付着した麹菌胞子が水分を吸収して4時間目頃から発芽し、8〜10時間目頃から発熱始める。この間に品温は、前半は35〜38℃ぐらい、後半は35℃以下とし出麹近くに上昇しても40℃以下にとどめる。製麹工程の後半では、麹菌菌糸が伸びて絡み合うと部分的に品温が上昇するので塊を崩す必要がある。約48時間で麹菌が蒸米全体に破精込み(注4)製麹工程は、完了する。

(注1) 分解型 味噌には、分解型と発酵型があり、分解型は麹菌の働きで米を主に分解し味噌とするタイプ。発酵型は、麹菌の働きで大豆を主に発酵させて味噌にするタイプ。
(注2) アミラーゼ活性 米の中のでん粉を分解して、グルコース(還元糖)を作る力。この作用によって、味噌に甘味をもたらす。
(注3) 引込み 家に閉じ篭って外出しないことではなく、種麹を散布した蒸米を製麹装置に移すこと。
(注4) 破精込み(はぜこみ)麹菌が蒸米の内部まで菌糸を伸ばしている状態。

大豆の加工工程


大豆をふやかします
浸漬(しんせき)
次の蒸煮工程で均一な熱変性をさせるために、大豆に適度な吸水をさせる。味噌の種類により、浸漬時間は異なる。味噌の色に強い影響をあたえるタンパク質が水溶性のため、一般的に色の白い味噌用には長時間(16時間以上)、色の赤い味噌用には短時間(3〜5時間)の浸漬時間が適当とされる。

水煮した大豆は淡い色に

留釜後の大豆
江戸甘らしい色に

蒸煮(じょうしゃ)
大豆の蒸煮は、味噌の品質に大きく影響をあたえる工程である。その目的は、(1)大豆を軟化させ、タンパク質を熱変性させる。(2)殺菌する。(3)生理的有害物質の除去または、失活させる。(4)生大豆臭(ヘキサナールなど)を除去する。(5)多糖類(アラビノガラクタンなど)の可溶化などである。

蒸煮方法は、大きく「蒸す」「煮る」に分かれ、「蒸す」は、無圧蒸し、加圧蒸し、高圧蒸しに分かれる。また、「煮る」は、無圧煮と加圧煮に分かれる。

江戸甘味噌の場合は、江戸時代よりの製造法に則り、3日間にわたる無圧蒸しを行う。これを留釜(とめがま)と呼び、江戸甘味噌のみで使用される製造方法である。江戸甘味噌は、この製造方法により光沢ある茶褐色をもつこととなる。

冷却
冷却温度は、麹、塩の品温、気温を考慮して所定の仕込温度になるように調整する。


米・大豆・塩を混合

仕込混合
米麹、蒸煮大豆、塩、種水を均一に攪拌混合する。混合が均一でないと、部分的に異常発酵が起こり、一定した品質が得られない。

江戸甘味噌の場合は、麹菌のアミラーゼ活性を働かせるために40℃〜50℃の熱仕込(あつじこみ)を行う。


味噌ができるを待つばかり…

熟成管理
江戸甘味噌の場合は、品温を40℃以上に保つように温度調整をした熟成室に保管する。熟成期間は、9〜14日程度である。



参考文献 『みそ技術ハンドブック』全国味噌技術会


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